人材派遣業は昨今ますます需要が高まり、政府の方針も相まって今後も成長することが予想される産業です。しかし人材派遣業を運営すると、その入金サイクルの長さに悩まされることになります。
ここでは人材派遣業の資金調達方法として昨今注目されている「ファクタリング」について、実例を交えながら紹介します。
人材派遣業界はそのビジネスモデルからも分かる通り、相手先企業から人件費を入金してもらうことでビジネスが成り立っています。
もちろんクライアント企業各社からの入金は契約にもよりますが、およそ2ヶ月から3ヶ月程度で入金というのが一般的です。
その一方で、人材派遣の会社に登録している派遣社員の人たちは「採用お祝い金」や「週払い」での給料、または「日払い」で給料を受け取るケースもあるなど、とにかく多種多様な項目で支払いが必要となります。
このような業務形態であることから、どんなに盤石な経営体制を整えていたとしても、世間のほんの少しの動向の変化で資金ショートを警戒せねばならない状況になることも十分に考えられます。
このような事態を回避する事を考えると、売掛債権を圧倒的なスピードで現金化させることができるファクタリングとの相性は抜群というわけです。
通常であれば3ヶ月後にならなければ入金されてこない売掛代金が、瞬時に手元に届くとなると、会社としての経営もかなり安心材料が増えます。
手数料リスクを考えるともちろん恒常的にファクタリングを利用するわけにはいきませんので、ある程度の調整は必要です。しかし、それでもファクタリングで資金ショートを防ぐことは十分に可能でしょう。
人材派遣業でファクタリングに成功したという事例は数多く存在しますが、その中の一つに「つなぎ資金」をファクタリングでまかなったというケースがあります。
本ケースに登場する会社は、あまりにも無茶な受注金額で他社を圧倒し、契約を勝ち取ったは良いものの、つなぎ資金が不足してしまった会社です。
この時同社が保有する売掛債権自体は非常に色良い金額で売掛先も大企業であることから与信的にも問題はないだろうと判断し、ファクタリング会社に複数の見積もりを依頼しました。
しかしファクタリング会社からの回答としてはその全てが「手数料は15%から16%」というものでした。さすがに15%以上の手数料となると利益な問題が発生します。
もう一つの選択肢としては、3社間ファクタリングと言って相手先企業に対して債権譲渡を行うことを堂々と宣言した上で行うファクタリングがありました。
こちらの方法だと、手数料は15%以上という水準と比較して「ほぼ無視しても良い金額」でしたが、今後の関係性を考えるとすぐには手の出しづらい選択肢だったことは事実でした。
そこで同社の経営幹部一同で熟考に熟考を重ねた結果、ファクタリング会社のコンサルティング担当者にも同席してもらい、交渉にあたることにしました。
実際の交渉では同社の経営状態が危ういわけではなく、
「あくまでも一時的なつなぎ資金を経営戦略の一つとして調達するために貴社の売掛債権を譲渡するのだ」という説明をしてもらいました。
最初はありありと疑いの色が出ていた相手先担当者も、この説明でしっかり納得してくれ、現在でも条件等に変動なく安定した取引が継続しています。
もう一つのケースをご紹介します。
こちらのケースは大変堅実に、まるで石橋を叩いて渡るかのように、またクライアントとの調整も決して手を抜かず人材派遣業を営んでいた企業のケースです。
ある日突然、クライアント企業から違約金の請求を受けました。
詳細を確認すると同社から派遣していた派遣社員が現場で重大な過失による問題を発生させてしまい、これが派遣先の大幅な減収や損害を招いてしまったということでした。
法的にも逸失利益の請求などを含めて大変厳しい状況に立たされてしまった同社では、これが元となり様々な部分で経営において「いびつ」な部分が露呈してしまいました。
違約金の支払いなどもあり、ほとんど事業継続は不可能かと思われました。事業の整理に入ろうとした同社の経営者がファクタリング企業に売掛債権の買取を打診したところ、ファクタリング企業から反対に経営コンサルティングの提案を受けました。
このコンサルティングによって経営の問題点が次々と判明し、それに呼応するかのように解決策も次々とコンサルティングを行っているファクタリング企業から提案されました。
そしてこれらの経営改善案はファクタリング企業から調達する売掛債権の譲渡益で十分に実行しうるもので、さらには会社の業績を安定させることができそうなものでした。
これに社の命運を賭けたことで、同社は結果的に奇跡のカムバックを遂げました。
このようにファクタリングと経営コンサルティングがセットになるケースもあるという実例のご紹介でした。
また納税のためにファクタリングで資金調達をしたという例も存在します。
とある人材派遣業者では、クライアントと派遣社員との調整も良好に行えてきましたが、ある時期から一部のクライアント企業の経営が悪化し、人件費の入金が遅れがちになってしまいました。
そして一番人件費が入金されていなければならない納税の時期になっても入金が行われず、最終的な方法として納税費用の捻出のためにファクタリングを利用するに至ったというわけです。
この時もファクタリング企業では相談に応じるという形で、簡単なコンサルティングを行いました。
この時のことを、同社の経営者は「ファクタリング手数料は確かに手痛いものだったが、それ以上にコンサルティングもセットで受けられることができたのでよしとしたいと思う。
実際にファクタリング企業の担当者の方も、最初に私が抱いていたような印象の方ではなく、大変人当たりの良い『熱い』人物であることが分かった」 と述懐します。
このように信用情報を一つで取引をする銀行融資とは違い、きちんと人物面もお互いに見るというのがファクタリングの良い所でもあります。
また人材派遣業といえば週払い・日払いで給料の支払いサイクルが短いことでも知られています。
特にこの週払いや日払いの制度を魅力に感じて派遣登録する人も多く、人材派遣業者としては不本位ながらもこの制度を取り入れざるを得ないというケースもあるでしょう。
最後にご紹介するこちらのケースでは、この週払いと日払いの制度が仇となって資金ショートを起こしてしまった会社の事例を確認してみましょう。
こちらの会社は地方都市で営業している人材派遣業者でしたが、とにかく競合企業が週払いや日払いの給料形態を次々と導入するためそれらに対抗する唯一の手段として日払いおよび週払いの給与体系を導入するに至りました。
しかしこの方法はかなりのギャンブルでした。
なぜなら資金繰りの関係上、向こう半年ほどはクライアント企業に何らかの変動があると一気に資金ショートを起こす危険性があったからです。
そしてその懸念は現実になります。
突如、年度替わりの時期に複数の企業から支払いサイトの変更の申し出があったのです。
年度替わりは特に新しく派遣社員の登録が増える時期でもあり、明らかに資金ショートすることは目に見えていました。
銀行からの融資も検討しましたが、地方都市の銀行員は非常に耳が早いもので、融資の相談は結局失敗に終わりました。
ここで最終的な資金繰りの方法としてファクタリングを同社は選択します。
融資と違って特段同社の信用力が厳しく問われるということもなく、クライアント企業の売掛債権とクライアント企業の与信力によって売掛資金を現金化して調達できるファクタリングは、大変同社にとって魅力的な選択肢でした。
事実クライアント企業も25年という極めて長期にわたり継続取引のある企業が複数存在したため、売掛債権の審査は全く問題なく通過。
わずか申し込みから1時間半程度で完結してしまいました。
その後は売掛先企業に知られない方法である2社間ファクタリングを採用し、無事に即日で資金を得ることができました。
「特に、人材派遣業によくあるケースである『一分一秒でも入金が早い方が良い』という切迫した状況においては、2社間ファクタリングは手数料こそ少々割高ですが、有効な方法です」
と、同社の担当者は後に語りました。
今回のまとめ
入金サイクルが長い人材派遣業では借りない資金調達のファクタリングが人気!実例を交えて人材派遣業のファクタリングを紹介
手数料も3社間ファクタリングを選択できるのであれば非常に割安となり、人材派遣業が持つことの多い売掛債権も審査に通過しやすい性質であることから、人材派遣業を経営されている経営者の方は一度転ばぬ先の杖であるファクタリング企業を検索してみると良いでしょう。