売掛金がファクタリング会社によって異なる理由

目次

  1. 何社間ファクタリングを選択するか?
  2. 審査の内容/必要書類の有無
  3. ファクタリングの契約のかたち
  4. 売掛先会社の信用性
  5. 利用経験や実績
  6. 利用期間
  7. 利用金額
  8. 利用タイミング
  9. 企業自体の社会的信用性
  10. まとめ


ファクタリング会社は全国に100社以上存在しています。
それら多くのファクタリング会社では、個々にサービス提供時の手数料設定が異なってきます。
ここではそれらの手数料の違いについて説明を致します。


何社間ファクタリングを選択するか?

まず、決定的に手数料金額に違いが出るものが、『2社間』か『3社間』かどちらのファクタリングを利用するかで大きく変わってきます。

2社間ファクタリングの場合、利用者とファクタリング会社とで直接契約が結ばれるため、売掛金の信用性の問題が重視されます。あくまでも、利用者とファクタリング会社の間で不備なく円滑に取り引きが出来る状況であるかどうかの問題となりますので、信頼性が大きく影響してくるものです。

利用者側がどのような優良企業であろうとも、2社間ファクタリングを選択する時点で、やや手数料は高くなると考えてしまって間違いないでしょう。

次に3社間ファクタリングの場合、こちらは2社間ファクタリングに比べてややハードルが下がる状態となります。理由としては、売掛先(取引先)とのやり取りに、ファクタリング会社が間に入るかたちでお金のやり取りが行われることになる為です。ですので、ファクタリング会社が利用者からお金を返済してもらうことにはならず、ファクタリング会社は売掛先(取引先)から支払いを直接受けることになります。この為、ファクタリング会社からすると、確実に請求の支払いを受け取ることが出来る構図が出来上がる為、スムーズにお金のやり取りが処理できるからです。

ここまでの段階で、2社間ファクタリングを選択するよりも3社間ファクタリングの方が、手数料は低くなることが分かります。ファクタリング会社にとってのメリット面が影響してくるものでしょう。

審査の内容/必要書類の有無

ファクタリング会社の審査には様々なものが必要となります。利用者側から提出する書類の内容や重要度によって、ファクタリングの取り引きが可能かどうかが判断されると考えて良いでしょう。

・会社の概要が分かる書類
・決算書等の収支が分かる書類
・資金繰り等の状況が分かる書類
・銀行口座通帳コピー
・契約書/請求書
・納税証明書/領収書

上記のような書類をしっかりと用意出来れば審査はそれほど厳しくはありません。提出物の多くに特に不備がなければ、利用者への評価は問題なく、審査を通過することが容易でしょう。

もしも、これらの書類に若干の不備が確認できたとしても、それを加味した審査となる点がポイントです。つまり、減点方式のようなもので、ファクタリングの取り引きをする上でのリスク面をジャッジされます。その結果、手数料の増減が発生するものとなりますので、不備がない方が手数料が下がると考えてしまって良いでしょう。

重要な点は、「社会的に信用性に足る企業か否か」「収支書類等を見た際に、ファクタリングサービスが必要かどうか」「資金が前倒しで必要な状況かどうか」「会社としてしっかりとしたお金の流れが口座に存在し、ある程度の体力等があるかどうか」「取引先との契約の有効性や効力があるかどうか」「納税等による取り立て差し押さえなどがないかどうか」です。

ファクタリング会社としては、何かしらの他の要因によって安定したファクタリングの取り引きが可能かどうかについて、非常に考慮していると考えられます。

審査の内容の状況に応じて、どのくらいの期間を要してファクタリングの契約が締結し、融資を受けられるかが決まりますので、とても重要なステップと考えられるでしょう。

ファクタリングの契約のかたち

3社間ファクタリングは、利用者と取り引き先企業との間に広告代理店のようなマージンを取る中間業者を挟むイメージの形になるだけですので、直接のお金の流れをファクタリング会社側が得ることが出来るため、あまり事故が起こらず最も安定したかたちのファクタリング契約となります。

しかし、2社間ファクタリングの場合には、実際の売掛金の支払いを受けるのは利用者であり、そこからファクタリング会社に返済をしなければなりません。利用者側とファクタリング会社以外に関わる会社もありませんので、取り引きの部分は信用/信頼によって成り立つ部分が非常に大きいです。

すると、取り引きに特に細かい制約等が交わされていなかったりすると、売掛金に当たる金額を返済しなければならなくなった際に、遅延や滞納などが発生する可能性があります。

この2社間ファクタリングで重要となるものが『債権譲渡登記』です。

ファクタリングの取り引きをする上では、契約が成立していることを厳密に証明するためには、債権譲渡登記の手続きが必須となります。これらは、ファクタリング会社側の身を守るために必要となるもので、もしも債権譲渡登記を交わしていない状態で利用者側が倒産するような状況になった場合には、ファクタリング会社は債権者となる事が出来なくなってしまいます。

しかしながら、スピーディーなファクタリング契約を進めようとした場合には、書類の作成等は非常に時間が掛かってしまうものになります。登記申請完了までには2~3日の時間が掛かるので早期の資金化の足かせになってしまうでしょう。ですので、利用者側の審査状況に応じて全てのファクタリング会社の契約で債権譲渡登記を求めてくるわけではないと考えられます。

売掛先会社の信用性

利用者側に一切の不備がなくとも、売掛先の会社が今にでも倒産しかねないような経営状況であっては、売掛金自体の信用/信頼性はありません。ここは利用者側からは何もできない部分になりますので、良い評価を貰えるように祈るしかないでしょう。

この評価の状況次第で手数料の金額も変わってきます。

ファクタリング業界で、「信用情報」とういう表現を見かけることがありますが、ファクタリング利用者に対しては信用情報は適用されません。しかし、ファクタリング会社によっては、金融業や貸金業に精通する会社もあると考えられ、信用情報を元に売掛先会社の評価判定の参考になっていると考えられます。

売掛先会社に、銀行や貸金業への返済遅延が生じていたり、借り入れが多かったりすると、業界は違えど信用性はあまりなくなってしまうでしょう。逆に赤字もなく経営状況が安定している優良企業であるとするならば、売掛金の支払いに対しての不安はないものと考えられる為、信用性も高くなります。

このように、利用者とファクタリング会社以外の部分の評価もファクタリング契約の手数料部分への影響が出てきます。

利用経験や実績

既にファクタリングサービスを一度活用したことがある場合には、その際の取り引き状況が評価される場合があります。

もう一度ファクタリングを利用したい場合には、以前利用したことのあるファクタリング会社でお世話になるとメリットがあるでしょう。過去の取り引き実績において、返済遅延や滞納などの不備がなければ安定感のある取り引きが出来る優良な企業として認識されていることでしょう。過去の実績を元に、契約の時点で手数料を低くしてもらう交渉が出来る立場でも話をすることが可能でしょう。

逆に怖いのが、他のファクタリング会社との取り引きで不備があった場合です。残念ながら業界界隈ではこの手の情報が伝わっている可能性がありますので、どこのファクタリング会社でも手数料が高くなる可能性があります。

1つのファクタリング会社との信頼関係の構築が重要そうですが、そもそも社会的に信用に足る会社かどうか、どのように見られる可能性があるかを考慮した方が良いでしょう。

利用期間

「1度のみ、1つの売掛金のみでの利用なのか」「毎月発生している売掛金での利用なのか」によっても手数料は変化してきます。

『A 1度のみ10万円(手数料4万円)』
『B 10ヶ月毎月10万円(手数料1万円)』

上記の例では、ファクタリング会社として収益を出す目的で考えるとBが好まれそうですが、リスク面を考えるとAとも考えられます。

つまり、例えばBに関しては『1度のみ100万円(手数料10万円)』の取り引きとも考えられますが、返済までの猶予期間が10ヶ月と考えると怖い気がします。

そうなると、得られる収益(手数料)が低くとも、リスクが少ない取引先を好む傾向があるかもしれません。

利用期間に関しては、ファクタリング会社によっても考え方は様々あるはずです。長期契約で収益を生もうと考えている場合もあれば、短期間で確実な収益を生もうという方針がある会社もあるはずです。

とはいえ、契約があって初めて収益が発生するものでしょうし、契約が続くことでファクタリング会社が得をする場面もあると思うので、考え方や方針がファクタリング会社によって異なるでしょう。

利用金額

ファクタリング会社側も取り引き規模に応じたサービスの提供をしていると考えられる為、そもそも取り引き金額によって、利用者を選んでいる可能性があります。

売掛金が100万円と1000万円の利用者のどちらを優先するかということではなく、そもそも500万円以上からのサービスと定めている場合がありそうです。

すると、500万円と1000万円の利用者がいた場合には、互いにどのように扱うかが気になるところですが、おそらく同じような扱いになりそうです。

500万円の売掛金 … 5%(25万円)
1000万円の売掛金 … 5%(50万円)

基本的な売掛金基準はおそらく設けられており、取引金額が高額になればなるほどやや手数料が安くなると考えられます。

これは、取り引きの金額が高額になればなるほど、利用者や売掛先の企業の信用度が高くなると考えられる為です。それだけ事業規模が大きく、逃げ隠れできず取りっぱぐれない状況になると考えられる為です。

利用者は、少額のファクタリングを如何に安い手数料で抑えられるかという点で考えない方が良いかもしれません。そもそも取り引きの金額幅で手数料基準は決まっている可能性があるからです。どちらのファクタリング会社を選択しても、概ねそれほど大きな違いはないでしょう。

利用タイミング

金額に合わせて、融資を必要とするタイミングが非常に重要です。

※ここでは、取り引き締結/契約完了までの時間は考慮しないで考えていきます。主に2社間取引の話になります。

例えば、月の中旬頃に売掛金の月末入金が待てずにファクタリングを活用する場合、入金までは15日の期間があります。これを5日後の20日までに融資してもらいたいとなる場合、融資希望日まで5日で実際の売掛金支払いまで15日となります。こちらをA社としましょう。

次に、月初に月末入金が待てずにファクタリングを活用する場合、入金までは丸々1ヶ月間の期間があります。これを20日後の20日までに融資してもらいたいとなる場合、融資希望日まで20日で実際の売掛金支払いまで30日となります。こちらをB社としましょう。

A社とB社では、B社の方が体力があるように感じられますが、そういう問題ではないでしょう。ここで重要視されると考えられる部分は、実際の融資までに残されている時間でしょう。つまり審査期間を長く取れる利用者の方が、良し悪しを判断しやすいため、ファクタリング会社もリスクを犯す必要がなくなるのです。

同条件でA社の融資希望日が28日となった場合には、A社の方がリスクが少ないと考えられる可能性があります。

ファクタリング会社はお金のやり取りに敏感です。もしも返済がされなかった時のことを常に考えているでしょう。そうなると、融資から売掛金支払いまでの期間が短い方がファクタリング会社には好まれリスクも少なくなります。

これらの内容は、主に契約時に審査が入る段階で精査される内容にはなりますが、ファクタリングを活用するタイミングによっては手数料も変化してしまうということが言えるでしょう。

出来るだけ、長期間の審査をしてもらい、短期間で返済する契約が好案件として認識されるものになり、手数料も少なくて済むでしょう。

企業自体の社会的信用性

どれだけ名の知れた有名/優良企業であるかが全てを物語ります。
その判断基準の一つが、『上場企業』か『非上場企業』かです。

この違いであるだけで、世間的な後ろ盾があるようなものですので非常に評価をされます。
利用者自身に対しても、売掛先会社(売掛金)に対しても、同じことが言えます。

つまり、『上場企業』であれば、逃げも隠れも出来ない体力十分な有名企業ですので、明日倒産しないような会社であると誰もが判断できます。

このような社会的信用を確立してる会社であれば、審査も容易にクリアでき、手数料も安くなります。

今回のまとめ

ファクタリング会社にとって優良な顧客であるかどうかを、全ての条件面においてクリアさえできてしまえば、そこまで手数料が高くなることはないのです。逆に、イレギュラーな条件であったり懸念点が多くなってくればくるほど、手数料は高額になってしまうということです。

とにかく手数料を下げたいという単純な考えであれば、2社間取引を3社間取引に変更するだけで問題は解決してしまうかもしれません。

2社間取引で手数料を抑えにいくのであれば、ファクタリング会社の要求する書類を全て提出し、ファクタリング会社の労力に見合う金額での取引を余裕をもって行うことが望ましいでしょう。そして、自社や売掛先企業の信頼性が十分であれば、案外安い手数料に収まるはずです。

それとは逆に、あまり良い条件で取引が出来ない場合には、10~20%という高額な手数料を提示されてしまうことは想像に容易いでしょう。

しっかりと自社自己分析をして利用することが適切であろうと考えられます。