目次
経営者にとって、売掛金の回収は至上命題でもあります。
この売掛金の回収なくして事業の存続はありえません。
ただし長きにわたり商売をしていると必ずといって良いほど、どこかで資金繰りにトラブルが発生します。
こういったピンチの際に役立つのが売掛債権を売却することで早期に売掛金を資金化するファクタリング制度ですが、このファクタリングも長期にわたって利用を継続することによってリスクが発生します。
ここではファクタリングを長期にわたって利用することの危険性について解説します。
経営者の強い味方ファクタリング
ファクタリングは、経営者にとって強い味方です。
本来であれば会社の存続が危ういほど資金ショートする可能性がある状況においても、ファクタリングサービスを利用することによってその場を切り抜けられるケースも多数です。
また、無理な入金催促などによって売掛先との関係性を悪化させたくない場合などもファクタリングを利用することで、そういったトラブルやリスクの芽を摘み取ることもできるでしょう。
このように経営者であればまず知っておきたい制度がファクタリングという制度です。
ファクタリングにより早期資金化が実現
ファクタリングは、とにかくそのスピード感が特筆すべきポイントです。
事業融資などになるとどうしても金融機関の審査などが入る関係上、どんなに短縮化しても数週間単位で時間がかかります。
それどころか、申し込んだ際には必ず融資があるため会社の経営が悪化している状況など必ずしも経営状態が良好・健全ではない状態で申し込みをした際には融資否決というリスクもあります。
ファクタリングにはこういった心配はありません。
融資の手続きではないため、申し込みをした自社がいわゆる与信調査を受けることはなく、会社の経営状態如何に関わらずほとんどのケースでスピーディーに売掛債権を現金化することが可能です
場合によっては、金額の多寡にかかわらずファクタリング契約がまとまり手元に資金が入金されてくるケースもあるほどです。ここが近年のファクタリング人気の秘密といってよいでしょう。
ファクタリングの危険性とは?
しかしこのように経営者の強い味方であるファクタリングも、危険性をはらんでいます。
特にファクタリングを長期にわたり複数回利用した場合は、会社の経営を圧迫しかねない事態に陥ってしまうことがあります。
ここではファクタリングの利用における危険性について解説します。
長期利用により財務が逼迫する危険性
ファクタリングは大原則として手数料が発生します。
つまり手元に入ってくる予定の売掛債権が1,000万円ある場合、多くの場合は10%から30%程度のファクタリング手数料を差し引いた金額が会社の所得となります。
つまり1,000万円の売掛債権に対して実際に入金されてくる金額が900万円程度になるのです。
これは通常の業務で考えた際、1割引から3割引で仕事を受注しているのと全く同じ状況になります。
そのため急場しのぎや資金ショートを短期的に回避する目的でファクタリングを利用するのであれば問題はありませんが、長期的にファクタリングを利用することにより会社の財務が逼迫する危険性があるというわけです。
3社間ファクタリングにより取引先の信用低下リスクが発生
また、ファクタリング手数料を抑える方法として、相手先の会社に対してファクタリングを利用することを通知する
「3社間ファクタリング」を利用するという方法もあります。
この場合は債権の保全がファクタリング会社でも容易になりますので、リスク管理の兼ね合いから手数料が安価に設定されることもあります。
この場合は手数料を抑えてファクタリング契約をすることが可能となりますが、同様に取引先にもファクタリング業者を間に入れていることが判明してしまいます。
つまり、取引先から
「この会社は信用に値する会社かどうか?」という疑念を抱かれる可能性があり、これがもとで信用低下を招いてしまう危険性もあるというわけです。
この取引先からの信用低下は何にも代え難いもので、同業他社に情報が知らず知らずのうちにリークされる可能性も懸念しなければなりませんん。
ファクタリングは短期的な利用を心がける
このように、ファクタリングは長期的に利用すると財務が逼迫する可能性があるとともに、対外的な信用低下リスクがあると言わざるを得ません。
無論、短期的な利用であれば一時的に資金難を乗り越えたり、資金ショートを回避することが可能です。
つまりファクタリングは短期的な利用を心がけるべきといえるのです。
今回のまとめ
ファクタリングは長期にわたって利用すると仕事を割引して受けているのと変わらない状況になってしまうことから、短期的な利用を心がけるとよいでしょう。
特に大口の取引の場合は手数料のパーセンテージにかかわらず支払うべき手数料の金額が膨らむ可能性が高いことから、短期的な利用にとどめるのが肝要です。