法人が資金調達する方法

目次
  1. 法人だからこその豊富な資金調達方法
  2. 時間的猶予で分かれる法人の資金調達方法
  3. 経営側のメリット
  4. 従業員側のメリット
  5. おすすめの給与前払いサービスは?
  6. まとめ
ビジネスの規模が大きくなると個人事業主から法人として法人成りを果たされるという経営者の方も多いのではないでしょうか。また、最初から方針として経営のキャリアをスタートされたという方もいらっしゃることでしょう。 そして、ビジネスをしていく上で至上命題であり、いつでもつきまとう問題が資金調達に関する問題です。ここでは、法人が資金調達をする方法について個人や個人事業主との違いにも触れつつ、わかりやすく具体的にご紹介していきます。

法人だからこその豊富な資金調達方法

法人は、個人事業主・つまり営業性個人や完全なる個人と比べて、資金調達方法が豊富です。 しかもバラエティに富んでおり、それでいて調達できる金額も比較的大きなものになりやすいという特徴があります。 つまり、法人としてビジネスを運営していることによってより多くの資金調達における選択肢を持っているということになります。

時間的猶予で分かれる法人の資金調達方法

ここからは、法人の資金調達方法をそれぞれ時間的猶予で分けてご紹介していきます。

長期スパンなら資本増強を

まずは、長期スパンである半年から1年程度の時間を見ることができる場合に使える資金調達方法をご紹介していきます。 このくらいの時間的猶予がある場合は資本の増強を視野に入れつつ、会社をより大きく磐石にするための資金調達をすべきといえるでしょう。 そこまで時間的余裕がないわけでもありませんので、腰を据えて落ち着いて交渉を行うことができますし、資金調達までに時間のかかるスキームを採用することも十分に検討可能です。

・エンジェル投資

創業間もないベンチャー起業家・スタートアップ企業などに対して資金を提供し、会社を大きくする手助けをしてくれる人たちのことをエンジェルと言います。 またはエンジェル投資家などと呼んだりすることもあります。元々は海外のエンジェル投資家が有名でしたが、最近は日本国内にもエンジェル投資家が数多く登場しています。 こういったエンジェル投資家との出会いを通じて出資を募り、その上で会社の資本を強化してもらってビジネスを強化する方法も一つの資金調達方法です。 特にお若い経営者の方や新進気鋭の若手起業家の方はエンジェル投資家とのマッチングサービスを利用するなどで出会いを求めるべきでしょう。 特にお若い経営者の方や新進気鋭の若手起業家の方はエンジェル投資家とのマッチングサービスを利用するなどで出会いを求めるべきでしょう。 マッチングサービスを利用せずとも、全く関係のないボランティア活動や社会奉仕活動などを通じてエンジェル投資家と新進気鋭の若手起業家が出会ったというケースもあるなど、様々な所に出会いのチャンスは転がっています。エンジェル投資家を出会うことが出来れば資金面でかなりの余裕が出るため、中長期的に見れば会社の財務が磐石になることでしょう。 投資家によっては事業には一切タッチせず口出しもしないというタイプが存在する反面、経営面で助言や様々なサポートを行ってくれるというエンジェルも存在します。

・クラウドファンディング

新しい事業や新しいビジネスを始めるにあたり、多くの人からの出資を集める方法があります。それがクラウドファンディングです。 最近できたインターネット時代を象徴するかのような出資を募る方法ですが、これも資金調達の方法としてはかなりの有用性があります。 法人でなければクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げることができないケースなども存在しますので、こちらもまた法人に許された一つの選択肢といえるでしょう。 クラウドファンディングのシステムとしては多くの投資家や個人のユーザーから出資を募り、一定の金額まで出資が集まった場合に初めてその出資額を得ることができるケースや、金額の多寡にかかわらず出資を受けたものは全て口座に入金してもらうことができるケースなど様々なものがあります。 いずれにしても一つのプロジェクトやひとつの商品を作るために、という目的を限定して出資を募ることにはなりますが、会社の運営資金になることは間違いありません。 そのため、何か立ち上げたいプロジェクトがあって資金調達を検討されている場合はクラウドファウンディングのシステムを使ってみることも検討しましょう。 ただしこの場合は一般的なビジネスに精通したエンジェル投資家や一般的な投資家にプレゼンをするよりも分かりやすくてそして情熱を持ち、万人ウケするような企画に仕上げていく必要があります。 そのためブラッシュアップなどにも多くの時間を要することが予想されますので、中長期的なスパンで資本の増強を考えるステージで利用できる方法といえるでしょう。
中期的な資金調達なら負債のリスケや返済猶予の交渉を
半年から1年単位で時間的猶予がある場合には資本の増強という方向に舵を取るべきですが、そこまでの時間もなく、およそ半年以内に資金調達を行わなければならない場合には、そもそも会社が現在負っている負債の返済猶予の交渉や、いわゆるリスケジュールなどの方向にハンドリングした方が良いケースもあります。 特に公的融資などを受けている場合には返済猶予の制度があるケースもありますし、場合によってはセーフティネットなどを使うことができるケースもあります。こちらも確認しておきましょう。 その他に返済猶予の交渉の他に、支払い期日を延ばすという方法も利用可能です。

・各種支払い猶予

出来る限り取引先への入金は落とさないようにしたいところですが、やむを得ない場合はできる限り早めにその旨を伝え、誠心誠意「台所事情」を理解してもらうようにお願いするというのが筋でしょう。 当日になっていきなり支払いができない旨を伝えてしまうとかなりのトラブルになる可能性が考えられます。 業界の評判や関係性などを十分に考慮する必要はあるものの、やはり出来る限り早い段階で支払い猶予の申し出はした方が良いでしょう。

・仕入れをクレジットカードなどで行う

品物を仕入れて、それらを販売するようなビジネス形態の場合は仕入れをクレジットカードで行うという方法もあります。 今まで現金仕入れや掛け払いでの取引を行っていた場合にはクレジットカードでの仕入れができないかどうか確認してみると良いでしょう。 この方法を使うことにより、取引先にはクレジットカードによって決済が担保され、支払いを行う側としては、クレジットカードの締め日があるため実質的に1ヶ月から2ヶ月程度支払いに猶予の時間が生まれるケースがあります。 場合によっては一般的なクレジットカードは末締めの翌月末払いであるものの、一部法人クレジットカードは末締めの翌々月・月初払いという支払いが可能なケースもあります。 その他法人でもリボ払いが可能なケースもありますので、リボ払いによって支払額を一時的にダウンさせるという方法も検討すべきです。 同様に、こういった法人クレジットカードをお持ちでない場合や、もう一枚か二枚法人クレジットカードを持っておきたいという場合は早めに申し込みをしておくと良いでしょう。 法人クレジットカードの場合は特に審査~発行までに時間がかかる傾向にあります。 実際に申し込みをしてから法人クレジットカードが利用可能になるまで1ヶ月から1ヶ月半程度の時間は見ておくべきです。
猶予が1ヶ月未満なら緊急資金調達を
支払いまでの猶予や資金調達をしなければならない時間的猶予が1ヶ月未満の場合は緊急資金調達を行わなくてはなりません。 とにかく時間がありませんので、今すぐにできる行動を一つずつ取っていく必要があります。

・資産を再確認する

まずは、会社にある資産を再確認するところから始めましょう 会社の資産というのは在庫や現在貸し付けているお金、その他回収していない債権、および代表者が契約している生命保険などもこれに含まれます。 会社名義の保険などがあればこちらも資産ということになります。

・在庫の処分

確認した段階で在庫商品などがあれば、まずこれらの処分からスタートしましょう。定価で販売をすることができれば一番良いのですが、売り抜けることが明らかに不可能であるという場合には多少値下げを行った上で、在庫ごと他の業者に引き取ってもらうという方法もあります。 特に、EC関係の事業をされている経営者の方は、在庫ごと他の業者に引き取ってもらうという選択肢を検討してみてください。

・保険の取り崩し、契約者貸付

各種保険・積立金などは、取り崩しを始めましょう。 とにかく時間がありませんので、一にも二にもまずは保険屋の担当者を呼び出し、事情を説明した上ですぐに取り崩しにかかってもらうのが先決です。 また、保険には契約者貸付という制度があり、こちらを利用することができるケースもあります。 解約まで思い切った行動をせずとも、一時的に契約者貸付という形で資金を調達することができるケースもあるのです。 こちらも積極的に活用しましょう。 また会社名義で被保険者を経営者自身にしている場合はその契約者貸付も会社の資産ということになりますので、ビジネススキーム上も問題なく資金調達の方法とすることができます。

・債権回収を強化する

今まで会社の経営が盤石だったことからついつい放置してしまっている焦げ付き債権などはありませんでしょうか。こういった債権回収も強化することで、思わぬ形で資金調達が可能になるケースもあります。 そもそも債権ということは会社に入ってきてしかるべき金額ですから、恐れることなく回収を行いましょう。 ただし、支払期日が到来していない売掛債権については支払いサイクルを早めてもらうという構造になってしまいます。 これをなかなか嫌う社長さんも多くいらっしゃいますし、そもそも応諾してもらえない可能性も十分に考えられます。 ただし時間がない場合にはなりふり構ってもいられませんから、早期の支払いをお願いするなどの対応を取る必要があります。

・ファクタリングを行う

支払期日が到来していない売掛債権についてはファクタリングという方法を使うことにより、先方企業に何らの迷惑をかけることなく現金化できることもあります。 ファクタリングは経済産業省なども現在推進している資金調達方法で、特に中小企業の経営者に向けて利用を推進しているような方法となります。 いわゆる支払期日の到来していない売掛債権ファクタリング業者が買い取り、手数料を差し引いて速やかに申し込みした側に入金をすることによって資金繰りの改善を図るという方法です。 また、資金調達をした側は本来の入金期日にファクタリング会社側へその入金額を全額送金するだけで取引が完結するため、そのシンプルさや「わかりやすさ」も人気です。 売掛ファクタリングといえば三社間ファクタリングが一般的で、ファクタリングを実行する際には売掛先企業の協力が必要なケースも多くみられます。 しかし最近は2社間ファクタリングといって、売掛先企業に知られることなく取引を進めることができるケースも存在します。 こちらを使うことによって、相手先に迷惑をかけることなく資金調達が可能なことから中小企業の経営者を中心に、業界の各方面から支持を集めています。
今回のまとめ
法人は営業性個人には個人事業主と異なり、様々な方法で資金調達を行うことができます。また、時間的猶予に合わせて選択肢を柔軟に変えることができるなど、法人だからこその柔軟なチョイスが可能です。
ただし、時間的猶予がない場合は緊急的に資金調達を行う必要があります。 できるだけ速やかに、ファクタリングなどを有効活用して資金調達を行いましょう。